小さなプロローグ

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小さなプロローグ

 わたしは、雨が『大嫌い』だった。  でもあなたは――雨がよく似合っていた。  アスファルトから立ちのぼる匂いを感じるたび、ふと思い出す。  雨空を優しく見上げる、あなたの横顔を。    二人が出会った日を境に、ほんのちょっぴりだけど、わたしにとっての雨の存在が『大嫌い』から『嫌い』に格上げされた。   朝の天気予報で「今日は梅雨の中休みでしょう」と言っていた、6月初めの土曜の夜。  突然の土砂降り雨の冷たさと、あなたと雨宿りしたことを、わたしは決して忘れない。  
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