五日目の夜は夢箱の中で

10/10
前へ
/10ページ
次へ
 ――ドリームボックスの中に落とされた直後、私はやってきたパパとママによって救い出された。  間一髪で、死を免れたのだ。  あの時の事は未だ毎日のように夢に見る。  ドリームボックスの中に残されたコタローやモモの怨嗟の声や、最後まで名前を知る事のなかった雑種犬の達観したような目は、私の記憶の中に鮮明に焼き付いたままだ。  あれから数年が経ったが、もう二度とパパやママの側を離れるような失態は犯さぬよう、私は静かに暮らし続けている。  露頭に迷った犬がたどり着くのは、ドリームボックスという恐ろしい箱だ。  その暗闇の中で、日々多くの犬達の命が奪われている事を、私達は肝に命じるべきなのだと思う。 《了》
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加