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「ねぇそれ、どういう事? ココだって同じトイプードルで、仔犬なのに、ココは違うって事?」
私の質問に、雑種犬は沈黙で答えた。じっと私を見据える冷たい目に、はっと思い当たる。
脚だ。
ココは脚が悪い。例え同じ仔犬であったとしても、人間は怪我や故障がある犬を飼いたがらない。ココはそのせいで、私達と同じ部屋に入れられたんだ。
「……良かった」
私達の心配をよそに、ココは安心したような笑顔を浮かべた。
「モモが助かってくれるなら。僕の脚がおかしいせいでモモまで巻き添えで捨てられたんじゃないかって、ずっと心配だったんだ。でも、新しい飼い主さんを見つけて貰えるんだったらもう大丈夫だね。本当に良かった」
「ココ……」
私はココに近づき、その背中を舌で撫でてあげた。妹を想う健気さが、いじらしかった。
「まぁ、お前だって終わったわけじゃない。少なくとも、俺達より助かる可能性は高いさ。もちろん俺達だって、可能性がゼロとは言えない」
「なぁ、何か助かる方法はあるのか? 教えてくれよ! どうしたら助かるんだ!」
コタローは手のひらを返したように、雑種犬に向けてキャンキャンせがんだ。
「これから色んな人間が来る。とにかくそいつら全員に媚びを売る事だ。この犬は見どころがある。引き取ってもいいと思わせろ。それが全てだ。チャンスは明日からの四日間だけ。それが過ぎれば……五日目の夜には全員ドリームボックスの中だよ」
雑種犬はそう言い捨て、それっきり興味を失ったように背を向けてしまった。
ドリームボックス。
暗闇の中、犬達が必死に助けを求める悲痛な叫び声が耳について離れない。
四日後には私達も同じように、命乞いをしながらドリームボックスの中に葬り去られてしまうのか。
それまでに……私のパパとママは、助けに来てくれるのだろうか。
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