19人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
――――――――
「明日の打ち合わせ、資料は万全だろうな」
背もたれのジャケットに手を掛けながら、高木は部下のゆうりに声を掛けた。
もうすぐ日付も変わろうという深夜のオフィス。このフロアには二人の他に残業している者は居ない。
「失敗は許されない。先方は最後のチャンスだと言ったんだからな」
高木はゆうりにプレッシャーを掛ける。
当然だ。
前回の打ち合わせでは徹夜で作成した資料を忘れ、得意先の貴重な時間を無駄にしてしまったのだから。
徹夜で資料を作成したのは高木で、資料を印刷して持参する予定だったのがゆうりだ。
「はい。大丈夫かと……」
ゆうりも帰り支度を始めていたが、もう一度、バッグの中をチェックする。
「大丈夫なんだな。じゃあ、我々も帰ろう。明日に備え……」
「ああっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!