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―――そして5分後の暗転―――
暗闇の中
二人は立ち尽くしている。
息遣いだけが静かな暗闇の中に聞こえた。
(どうしよう……資料、書庫に忘れたんじゃなかったのかな……5分も探して見つからないなんて……)
ゆうりは動けない。
(課長、どんな顔してるかな…怒ってるよね…早く謝らなくちゃ…)
「あ、あの、」
(何てことだ…ライトを持って来れば良かった。5分もあれば見つかると思ったからつい……また彼女を落ち込ませたかもしれない。何か声を掛けてやらないと)
「石、」
二人の声が一時重なり、それから沈黙が続く。
沈黙の気まずさなのか 暗闇の恐怖なのか、ゆうりの心臓は早鐘を打ちだした。
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