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転がった頭の髪の毛を掴んで拾い上げる。用意していた『挑戦状』を取り出して、ふと、あっと華琳の方を向いた。
「取り引きの支払い、まだ訊いてませんでしたけど何ですか?」
昨夜時間がなかったことから、自分の依頼内容を話しただけで終わってしまった。
幾らお得意同士であっても、ビジネスパートナーとして手を組んでいたとしても、そこはきちんとしなくてはならない。それが華琳でなかったとしても、良い関係を築ける秘訣だからだ。
訊ねられた華琳はうーんと悩む。
「そうねぇ……。海凪君の愛――って言うのは冗談で、また今度言うわ。海凪君、急いでいるんでしょう?」
「すんません。じゃあ明日聞くんで、よろしくお願いします」
頭を下げて『挑戦状』を破った。
――俺の愛、やなんて、求めてくれるんならなんぼでもあげるんやけどなぁと。思わず苦笑を浮かべながら、羅井の体は花内の元へ飛ばされていった。
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