暗闇に光るメロンパン

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 ハルコの乗る新幹線がちょうどトンネルに差し掛かるころ、そのメッセージは届いた。 「色々考えたけど、もうハルコとは付き合えない。別れよう。お互い別々の道をいこう」  ハルコはそのメッセージを呆然と眺めた。メッセージはまるでジグソーパズルのピースのように頭の中でバラバラになって、それを組み立てることを心が拒んだ。    半年ほど付き合っていたトモキから、突然「考えたいことがある。距離をおきたい」とメッセージを受け取ったのは1ヶ月前。心でざわめいていた不穏なさざ波は、今、別れの言葉によって大きなうねりとなってハルコに押し寄せた。 「どうして、もう付き合えないの?理由を教えて欲しい」  そう返事を送ってハルコは、スマホを握りしめたまま、今までのいくつかの思い出とメッセージのやり取りを遡った。  トンネルの出口もまだ見えないうちに、トモキからの返事はやってきた。 「窮屈だった。連絡しないと心配されて、泣かれて。俺は別の人を探したい。ハルコも別の誰かと幸せになって欲しい」  ハルコは息をすることも忘れて、うねりの中でただその返事を、じっと見た。そして、瞬きをするとこぼれそうになる涙をこぼさないように静かに、目を閉じた。    目を開けていても目を閉じていても、目の前にあるものは、暗闇だった。  しばらくして新幹線はハルコの地元の駅に到着した。
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