やくそく。

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やくそく。

美術館に行こうね!! わたしは10歳 美術館のチラシに感動 ミュシャっていうんだ綺麗!! 初めて知ったの 見に行きたいよ そのりんごのジュースね、あの公園の自動販売機だけあるの 小さな四角のゼリーが入ってて 流行ってるんだ、みんな美味しいって! 美術館は公園の側だから、見たあとジュース買って飲むんだ!!! 父さんが連れて行ってくれるからね 楽しみ!!楽しみ!!! 約束の日の朝 仕事の招集を受けて、笑顔で出て行った父 子どもにも伝わる 面倒から解放された安心と、誤魔化した笑い 約束はいつまでも果たされること無く 仕事忙しいみたいだから 今の部署どこにも行けないらしい。  忙しくならなくなるかな? 沢山お話して一緒に遊びにいけるかな? 少し落ち着いたと聞いて楽しみにしていた夏 沢山おしゃべりをしようとしていた 仕事のお友達と魚釣りに行ったよ 母の声 沢山魚を抱えて嬉しそうに父帰る 買えば高級魚だぞ! 美味しいか、そうだろ!! お前らに食べさせたかった 笑顔で酔っ払う 美術館は? ずっとずっと待っていたのに お魚美味しいよ? でも、一緒に過ごせる日を待っていた わたしは家で過ごしていればそれで良くて 一緒に何かなんて望まれて無かったんだね 晩年になり父がさり気なく悔恨を吐露した 大人になり理解する 祖父は父と同じ仕事で忙しく 父の中にもその引き出しは無かったのだと また わたしが家にいるだけで父は幸せだったのだと ただ 待つことは嫌いになった 信じても果たされない約束を
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