さくらに贈る

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さくらに贈る

儚いものは寂しさと隣り合わせで あんなにいじらしい四つのシーズン 小さな翠の芽、小さな蕾、 雪の日も雨の日も晴れの日も 蓄えて蓄えて やっとのお披露目は束の間 ぼくは見ていたよ ずっと見ていたよ あんなにいじらしい四つのシーズン 喜ばせて、目を惹きつけて、 止めても止めても散ってゆく ぼくは見ていたよ ずっと見ていたよ そして、知っていた 人を喜ばせる為に咲いてるんじゃない 君自身の営みを 咲くことが全てじゃない 君自身の営みを どうかどうかこれからも 永く永く、その生命を紡いでいて
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