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 先週火曜日、昼ごろに「私の友人」と称するボタニカル柄のワンピースを着て、セミロングの髪を輪ゴムでハーフアップにした女が訊ねてきたそうだ。  休みであった父が応対し、私が仕事で不在である旨を話すと「じゃあ待たせていただきます」と言って履いていた夏用の白いパンプスを脱ぎ、ずかずかと中に入ってきたという。  驚いたと同時に失礼さに「なにをしているんです、勝手に入ってこないでください!」と声を荒らげ呼びかけたけれど、女はいっこうに聞く耳をもたないうえに冷蔵庫をあけて中身を物色し「なんだこれしかない、貧乏くさいなあ」などとぶつくさ言い、勝手に缶ビールを取り出して飲み始めたそうだ。  普段は温厚な父であるが、その傍若無人な態度でさすがに頭にきてしまい「出ていけ!失礼なふるまいの区別もつかない奴など、もてなすつもりはない!」と怒鳴ったが、向こうは「いきなり大声出すなんて、貧乏くさいうえに品がないし、感じ悪ぅーい」とにやにやして言い、缶ビールを飲み干すと再び冷蔵庫を開けて「これしかないの?まあいいわ」と缶チューハイを取り出し、喉をならして、ごくごく飲み出す。  父は下戸であり、それはほとんど私がコンビニやスーパーで買っておいたものである。 母に風呂上がりに喉が渇いたからと拝借されてしまうときもあるが、家族以外の人間によって勝手に飲まれ、そのうえケチまでつけられたとはたまらない。  怒鳴っても聞く耳を持たないし、むしろ酔って、赤くなった顔で「こわあい」と目をむいてにやにやするばかりで、父としてもだんだん気持ち悪くなってきたそうだ。  ゆえに「これ以上失礼なことをするなら、警察を呼びます」と告げた。  すると「なにそれ、品がないうえにすぐに怒ったり通報するなんて大げさ」と言って、飲みかけの缶チューハイを片手にそそくさ出ていったという。  他にも「これとこれと、あとこれでもいいわ」と上から目線で母が買い置きしている菓子を手に取り、持っていたエコバッグに詰め始めたので父が「勝手なことをするな」と制したところ「けちくさい、これぐらいたいしたことないじゃん。よく似てるね」とゲラゲラ笑い、ぶるんと膨れた腹を揺らしていたのが印象的だと語られた。
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