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「あら?私は寧衣良を信頼してるのよ?あなたならきっと解けるわ!はい!推理スタート!」
明日架が手を叩くと、寧衣良は不服そうにしながらもティーンの肌の様につるつるなシワの少ない脳みそで必死に考えを巡らせた。
何でも今度バイトの面接を受ける探偵事務所の江流久 英雄とかいう探偵は、推理をする時には糖分を補給するためにコーラ味のキャンディーを舐める風変わりでむっつりな探偵だと風の噂に聞いた。
偶然にも、今朝コンビニで買った純生マカロンとちおとめ味がスカートのポケットに入っていたのを思い出し、寧衣良はおもむろにそれを口に含む。
その瞬間、口の中に栃木の那須高原で太陽の光を存分に浴びてまるで赤いルビーの様に赤く輝き、それでいて草原を吹き抜けるそよ風の様に爽やかないちごの風味が広がり、サクッとした軽い食感ととろける様な舌触りの後、口腔粘膜から吸収された糖分が頭蓋骨内に補給され寧衣良の数少ない脳細胞のミトコンドリア内でTCAサイクルが回り始める。
「……分かった……分かった!分かった分かった分かった!!」
寧衣良は自分でも信じられないと言った表情を浮かべ明日架に駆け寄る。
「分かったのは分かったから。それで、どんな推理を聞かせてくれるのかしら?」
明日架は寧衣良の猛烈な分かった攻撃に若干ひるみながらも、その微笑みを崩さない。
ここみと音緒も固唾を飲んで見守っている。
「まず、合鍵を使って生徒会室に忍び込んだ明日架は念の為、部屋中引き出しの鍵を探しますが見つかりません。そこで、青酸カリが入っていると言う噂の自害用パンダ型マトリョーシカに目をつけます。きっとこれがなくなればここみ会長は念の為デスクの大事なものが入っている引き出しを開けて調べるはずだと予想したんです」
寧衣良がゆっくりと丁寧に推理を始めると、明日架は満足そうに微笑む。
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