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ゴルディロックスの黎明
ゴールデンウィークが開けた最初の登校日、教室の窓では強くなってきた日差しを和らげながら金色のそよ風にカーテンが揺れている。
「ねぇ寧衣良?このポスターどうかしら?」
紅葉坂 明日架は席に座ったまま、まるで新体操選手の様に仰け反って後ろの席に向かって話しかけた。
彼女の艶やかな黒髪が隠す紺色のセーラー服の襟には4本のラインが入っていて、3本は白、1本は薄いピンク色の刺繍糸であしらわれている。
それらはこの私立 紅葉坂女子高等学苑の理念、ソフィスティケート、エレガント、グレイスフル、チャーミングを示したものだ。
まるで最後の一つが思いつかなかった様な雑な理念だが、全校生徒の99.9%は他の3つよりもピンク色が示すチャーミングに重きを置いて学校生活を過ごしている。
恋澄 寧衣良は明日架の手からA4のコピー用紙を受け取ると、まじまじとそのキャッチコピーを眺めた。
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