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「そこで明日架はひ孫パンダマトリョーシカを部屋の隅にそっとおきました。そして、次の日、ここみ会長と音緒副会長が生徒会室に来るのを息を潜めてずっと待っていたんです。そう、あの窓の外のもみの木の上で!」
寧衣良が窓の外の大きなもみの木を指差すと、ここみと音緒も振り返る。
「作戦通り、ここみ会長は音緒副会長に秘密の場所から鍵を取ってくる様に言いつけました。そして音緒副会長は秘密の場所へと足を運んだんです。窓の外から真犯人が見ているともしらずに!」
寧衣良のすぐ隣で真犯人が嬉しそうに笑っている。
「それで?秘密の場所っていうのはどこなのかしら?」
真犯人の声に寧衣良は勝ち誇った様に微笑み返す。
「秘密の場所は……ここです!音緒副会長が持っていた本の中!紅葉坂女子高等学苑歴代キラキラ生徒会長図鑑(撮り下ろしグラビアつき)!!」
寧衣良は左手を腰に当て、右手の人差し指で床に置かれたままだった本を指差した。
この部屋に入ってきた時に音緒が大事そうに抱えていたが、寧衣良たちが起き上がるのを手助けするために音緒が床に置いたものだ。
「今この瞬間、歴代生徒会長を調べる合理的な理由は全くありません!つまり、生徒会長印を紛失して逼迫したこの状況では、普段から大切なものがしまわれている場所を念の為改めて確かめてみるというのが人間心理です!」
寧衣良がその本を拾うと、予想通り最後の方のページは鍵の形にくり抜かれてそこに鍵をしまえるようになっていた。
しばしの沈黙の後、数回、手を叩く音が聞こえた。
「全く素晴らしいよ寧衣良くん。それに、計画を立てた真犯人もね」
苦笑いを浮かべながらここみは2人を労った。
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