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「まさかパンダマトリョーシカ事件すら犯行計画の内だったとは恐れ入ったよ。すばらしい名探偵ぶりじゃないか。それで?本題の生徒会長印はどこにあるんだい明日架くん?君が鍵の場所を見つけたのは分かったが、今は鍵はここにあるし、ついこの間まで生徒会長印はちゃんと引き出しに入っていたよ?」
ここみは満足した様に深く息をつくと、胸ポケットを手で軽く叩いてからデスクに手を組み明日架に笑顔を向けた。
「あら?ここみ会長のすぐそばにありますわ?デスクの引き出しをもう一度探してみてくださいませ」
明日架が寧衣良に目配せをすると2人はにこりと微笑む。
不敵に笑う明日架と寧衣良をみて、ここみは急いでデスクの引き出しを開けようとするが鍵がかかっている。
すぐに胸ポケットから鍵を取り出して引き出しを開けると、そこには生徒会長印が入っていた。
「ば、馬鹿な!どうしてここに!さっきまでは絶対になかったのに!?」
ここみと音緒は驚愕しながら寧衣良と明日架に目を向けると、二人はにやにやと笑っていた。
「つまりこういうことですわ。ここみ会長の予想通り、私たちが足をひねったのは全部演技です。寧衣良のセーラー服のボタンはあらかじめ廊下に置いておいたものですし、寧衣良のスマホはあえてここみ会長のそばへと投げ飛ばしました」
明日架が再び人差し指を立てて説明を始める。
「そして、その隙に明日架が引き出しの鍵を開けておいて、私が転んだふりをしてデスクに寄りかかり、引き出しを開けて生徒会長印を戻したんです。そしてその後に再び明日架が鍵をかけました!えへへー名演技だったでしょ?」
寧衣良はまるで出したなぞなぞを大人が解けなかった時に子供が見せる様な笑顔で得意げに笑う。
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