Capitolo 13

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美砂は納得していないような返事をした。それがかえって湯島の心を刺激する。 「美砂はこれがそんなに大切なのか?」 「う、うん……大切って言うかこれを見ないと解放されない気持ち」 それは何となくわかる。 わかるけれども……。 「それを持ってることによって君も疑われたら元も子もないよ?」 「んー、そうなんだけどね…………じゃあさ……」 湯島の身体に抱きついたまま美砂はじっと見つめてきた。 「一緒に考えてくれないかな?」 「うん?」 「今夜中に二人で考えて、それでも分からなかったら警察へ渡すわ」 湯島はしばし絶句した。 まさか美砂から初めて頼られたのがこんな内容だなんて。元旦那のスマホ解除だなんて。嘘だろ。 「…………君、それで納得できるのか?」 「うん」 溜息をつきたくなる心境をグッと抑えて、美砂の言葉に従うことにした。彼女には本当に幸せになって欲しいから。自分が協力して答えが出るのならなによりだ。 それに従うしかない。 「…………とりあえずそのスマホ出して」 「うん」 美砂から預かったスマホのカバーを外す。 すると、やはり聞いた通り、ドメニコ修道院のステッカーが貼られていた。湯島は自身のスマホで最後の晩餐について調べ始める。 「美砂、この件で他にこれかな? と思った番号はないのか?」 「あ、あるの! 最後の別れ際で健が『12月24日 12階』って会話をしたの。それは二人で初デートした記念の日で……」 「あ、もういいから」 湯島は仕事で疲れきっている頭をフル回転させる。12.24.12―――誕生祭前日のイヴ。12…… 最後の晩餐の壁画にはイエス・キリストを含めて13人描かれている。じっくり見つめる。美砂も息を飲んで見つめた。 12人じゃない。 ここには13人。 もともとこの壁画を書いたレオナルド・ダ・ヴィンチは、右から記していく画家だったと昔聞いたような気がする。 どうだったか……湯島はぐっと深く脳内に潜り込んだ。 「美砂、その健さんはキリストに目覚める人? もしくはこの画家に興味があるとか歴史に深い人?」 美砂は横に首を振った。 「ないと思う。そういうのは全くない人」 じゃ、イマドキ風に左から数えるか。 湯島は左側から描かれている人物について調べ始めた。その沈黙に寄り添って美砂も画面を覗く。
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