Capitolo 13

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きっとそれは、彼がいつも思いやりの心があって、自分のことを大切にしたいと思ってくれてるから。愛情を持って両腕を広げてくれてるのを感じる……。 男性からそうされると、こんなに幸せな気持ちになれるんだ……。 美砂は、ぎゅっと抱きついている腕に力を込めた。 「いつもありがとう」 首筋に向かって囁く。 「美砂さん?」 湯島は低く声を漏らした。 「ん?」 「理性が飛びそうですけど」 そういうなり、素早く彼はソファに美砂を押し倒した。 「ちょ、ちょっと」 「誘ったのはそっち」 「あ、あの、いま昼間なんですけど?」 「大丈夫。すぐに終わるから」 言いながら美砂の首筋にキスをして手は下半身まで伸ばされる。 「か、会社は?」 「うん。終わったら行くから」 ゆっくりと太ももを撫でられ、美砂は力が抜けた。深い口付けをすると、途端に頭が働かなくなる。まるで深い霧の中に誘われるかのような感覚。脳内の一部が停止してしまって判断出来ない自分が顔を出す。 男の人に抱かれるというのは、こんなにも受け身になれるものなのか……。この感じは悪くない。 美砂はそのまま彼に身を委ねた。 暖かい彼の香りと安心できる声にのまれていった……。 ◇◇◇◇ 友人の恵から連絡があったのは、その日の夕方だった。湯島の家を一旦離れて家への帰り道。 久しぶりにスマホのディスプレイにその名前が表示されたとき、美砂の胸は大きく音を立てたのだった。 恵もあの件をニュースで見たのかもしれない。 そんな事をぼんやりと思いながらスマホを耳に当てた。 『もしもし! 美砂? 元気してるの?』 元気そうな恵の第一声。 「元気してるよー」 たくさん話したいことがある。そんな思いを込めながらそう返した。 『言いにくいんだけど、ニュース見ちゃった。どうしてるのかと思って心配でさ』 ああ、やっぱり。 『これ絶対美砂のことだって思うと、いても立ってもいられなくて連絡したの。ごめん』 恵らしい率直な言い方に足を止めて思わず笑ってしまう。
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