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「わ、わたし。前田りょうと言います!!」
わたしはその静寂を切り裂くようにして自分の嫌いな名前を口にした。
胸が痛い。血が顔に昇り頬に熱を感じる。
「僕は藤宮透」
水槽に目を向けたまま言葉を放つ彼。
わたしは何故だか胸が苦しくなった。
先程よりも重く堅くなった壁に触れることの出来ない自分。
徐々に自身の新品の上履きに目が行く。
首を垂れる姿は何て無様な姿だろう。
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