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「りょうって名前、綺麗だね」
耳に入ってきた言葉にわたしはぱっと顔を上げる。
交わる視線。
彼の硝子玉のように澄んだ瞳の奥は底の見えない深海のように深い深い碧色が広がっていた。
高校1年生の春。
息が出来ないくらいに苦しい深海の中に引き込まれたわたしは足掻く間もなく落下するようにして溺れていった。
彼と目が合った瞬間。
すとんと落ちた2文字の言葉がわたしの頬をじわりと染め上げたのだった。
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