episode1. 仁科春子

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「実は……妊娠しました」  えぇ……? 「え!? なおみんマジで!」 「おめでたい〜!!」  私の誕生日祝いから一気に直美の妊娠祝賀ムードへと路線が変わる。  結婚話、子供の話、未来の話。  周囲が盛り上がる中、私は顔に笑顔を貼り付ける。  この歳になる女性は疾うに結婚していて、子供もいて、洒落気づく暇も無くなって……  私には縁のない話か。  何処からとも無く感じる疎外感を掻き消すようにアルコールを次から次へと体内に摂取した。  この中で一番最初に27歳の階段を上った私は、どうも1人で水の上をぷかぷかと浮遊しているようだった。
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