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先の見えないトンネルの中でした。
私はただ一人そこに立ち止まっていました。
貴方が待っていろと言ったから。
約束の時が立ちました。
貴方は来ませんでした。
そんな約束忘れていました。
思い出は薄れることなく光り続ける筈なのに…
私の中には貴方が居て
貴方の中には私はいませんでした。
もう何度貴方からの連絡を待ったことでしょうか?
もう何度果たされない約束に胸を踊らせたでしょうか?
もう何度先のない未来を想像し下唇を噛み締めて一人耐えていたでしょうか?
約束は嫌い。
また今度、折り返す、待って、ちょっと待ってまた後で。
言われればいい子に御主人様の帰りを暗闇の部屋の玄関先で待つ犬のように忠実に待っているのに。
終止符を打たれて進むしか無くなりました。
開かない扉を内側から開けるしか無くなりました。
そんな力なんて残ってないのに何度も何度も叩いて壊して進むしかありません。
愚直に進むしかないけれど暗闇は変わらない。
それよりも暗闇は増すばかり。
叫ぶ声は貴方の幸せな声にかき消され。
私の涙は水道の水音でかき消される。
私は私の体を抱きしめるけれど、貴方は他の誰かを抱きしめる。
冷たい布団で小さく寝れば貴方は微笑みながら隣の誰かの頬を撫でる。
朝なのか?夜なのか?この部屋の内側からは分からない。
違う誰かが扉を開けた。
声は聞こえる、差し伸ばされた手も分かる、でも暗闇は変わらなかった。
私の中の光りは貴方なのだから。
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