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それをオリンポスから見ていたゼウスは、まあまあ悪くはないと思っていたが、その思いは日を増す毎に変化していく。
人々が誕生してからというもの、プロメテウスは心配してちょくちょく地上へ通うようになった。
誰それが怪我をしたと泣き付かれれば、手を翳して治癒したり、いさかいが起これば戒め、人々はプロメテウスを尊敬し、父上父上と慕った。
ゼウスとしては、それが面白くなかった。
最高神であるゼウスを、もっと崇拝して欲しかったのである。
ゼウスは不機嫌になり、プロメテウスを呼び出した。
ゼウスの住む、真っ白で美麗な宮殿に入り、こう言われた。
「人が神に捧げる肉の量を定めよ。神の取り分と人の取り分を決めておくのだ」
プロメテウスは分かりましたと頭を下げて退室したが、ゼウスの考えに気付いていた。
だから牛を解体しながら、プロメテウスは人々可愛さに細工をした。
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