人々を愛した代償

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プロメテウス達は戦地の通過を避け、東へ進路を取った。 道々、3人はプロメテウスに代わる代わる戦地での話をした。 自分達の経験からの考えや感想、今後の課題等を、プロメテウスを取り合うように話した。 2年半もの間プロメテウスと離れて暮らし、存在の大きさを改めて思い知った3人は、自分達をより理解して、成長を認めて欲しがった。 プロメテウスは微笑んで聞いていた。 ソロは前々から聞きたかった事を聞いた。 「神の立場をお捨てになられ、父上は不幸だとは思いませんか?」 パルはそれを聞いて慌てた。 タブーな質問だと思ったからだ。 プロメテウスはゆっくりと答えた。 「光り輝いている所に居た頃には気付かなかった小さな幸せや喜びも、よくよく見ると美しいものだ。これを不幸とは思わぬ」 ソロは 「太陽の下では見えない星々が、暗闇だと美しく見る事が出来るのと同じですか?」 と問うた。 「そうだな。同じだな」 プロメテウスは目を細めて言った。
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