人々を愛した代償

4/36
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
そこでゼウスの元へ赴き 「人に火を戻してやって下さい。今のままでは病気が絶えません」 とお願いをした。 しかしゼウスは首を横に振り 「火は神々の物である。人のような下等な生物に与える必要はない。人は火を持つ権利はない。人間は火を持つ事により、いずれ殺し合うであろう」 と言い拒否した。 殺し合いとは後の戦争を言い当てており、その予言は当たってしまう。 プロメテウスの落ち込んだ姿を見て、ゼウスが思っていたように、人への愛が大きいプロメテウスの心中を知った。 プロメテウスはがっかりしながらも地上に降りると、人々が集まってきて、また病人が出たから治して欲しいと頭を下げてきた。 よく【手の掛かる子ほど可愛い】と言うが、まさに人々はプロメテウスにとってそうであり、守ってやりたい存在であった。 プロメテウスは病人の所へ行き、手を翳して治した。 病気だった人は涙を流して、プロメテウスに感謝した。 このまま病人を出し続けてはいけない、とプロメテウスは密かに思っていた。 何とかしなければ……プロメテウスは悩みに悩み抜き、1個の決断をする。 弱く健気な人々の為、プロメテウスは秘めた思いを胸に隠しながら、オリンポスへと戻った。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!