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そこでゼウスの元へ赴き
「人に火を戻してやって下さい。今のままでは病気が絶えません」
とお願いをした。
しかしゼウスは首を横に振り
「火は神々の物である。人のような下等な生物に与える必要はない。人は火を持つ権利はない。人間は火を持つ事により、いずれ殺し合うであろう」
と言い拒否した。
殺し合いとは後の戦争を言い当てており、その予言は当たってしまう。
プロメテウスの落ち込んだ姿を見て、ゼウスが思っていたように、人への愛が大きいプロメテウスの心中を知った。
プロメテウスはがっかりしながらも地上に降りると、人々が集まってきて、また病人が出たから治して欲しいと頭を下げてきた。
よく【手の掛かる子ほど可愛い】と言うが、まさに人々はプロメテウスにとってそうであり、守ってやりたい存在であった。
プロメテウスは病人の所へ行き、手を翳して治した。
病気だった人は涙を流して、プロメテウスに感謝した。
このまま病人を出し続けてはいけない、とプロメテウスは密かに思っていた。
何とかしなければ……プロメテウスは悩みに悩み抜き、1個の決断をする。
弱く健気な人々の為、プロメテウスは秘めた思いを胸に隠しながら、オリンポスへと戻った。
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