eleventh chapter

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「夕飯準備するね」 「今日は何?手伝うことある?」  キッチンへ一緒に来てくれる悠衣に 「カウンターのところに座ってて、もうハンバーグ焼くだけなの」 「もしかして…前に愛実のハンバーグが食べたいって言ったの覚えててくれた?」 「そうかもね~」  うん、と言うのが何となく恥ずかしくて…でも彼にはお見通しだったようで 「嬉しい」  と悠衣は言いながらキッチンに入って来る。知らないふりしてフライパンを温めているとチュッとこめかみにキスをされ、彼は何事もなかったように 「グラス出すぞ」  食器棚を開けている。 「冷蔵庫も開けてもらってサラダボールとマヨネーズを出して欲しい」 「了解」  ハンバーグを焼きながら、マヨネーズを混ぜるだけにしてあったミックスビーンズとツナのサラダを混ぜ合わせる。 「うまそうだ」 「うん、簡単で美味しいよ。そのまま食べられるミックスビーンズとツナ缶とサラダ菜をちぎったのを混ぜるだけ。失敗の仕様がない簡単さ、ふふっ」  ハンバーグとじゃがいものポタージュ、サラダという簡単な夕飯だが悠衣は喜んでくれたようだ。付け合わせ野菜のアスパラだけはあんまり…と言いながら食べているのがおかしい。 「スープも作った?」 「うん…あまり聞かないでっていうくらい簡単に、この新じゃがの季節にはお鍋ひとつで美味しく出来る」 「そうか、おかわりある?」 「あるよ」  そう言うと彼は自らおかわりを入れに立ち、ご機嫌に隣の椅子に戻ってくる。うん、私も楽しいな。
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