eleventh chapter

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 愛実の作ってくれた夕飯は簡単だと言うがとてもうまいものばかりだ。 「ハンバーグの玉ねぎがシャリっと残っている感じもいいな」 「あははっ…みじん切りが粗いだけなんだけど良かった」 「愛実は料理上手なんだな」 「ありがとう?」 「ふっ…なんで疑問?」 「すごく凝ったものとかインスタ映えするようなお洒落な感じのものは皆無だよ。家庭料理と言われるものしか作れない」 「十分じゃないか?それ以上のものは外で楽しめばいいだろ?」 「…私もそれでいいと思うの」  少し声のトーンが落ちた彼女のグラスにワインを半分ほど注ぎ言葉を待つ。 「彼…西林はそうは言わなかった。もちろん毎日ではないのよ…彼は外も好きだったから。でも家でも…ちょっとね、ごめんなさい…楽しい話ではないわ」  小さく微笑みグラスを口に運ぶ彼女は離婚以来初めて会った元旦那のことを思い出したのだろうが言い淀んだ。 「愛実、続けて。前にも言ったけど俺には吐き出していいんだ。俺はこれからずっと愛実と一緒にいるんだから楽しい話ばかりでない時もあるぞ、絶対に。だけど、それも愛実だからいいんじゃないか…」 「…ありがとう、悠衣。悠衣もワインにする?ビール?」 「ワインにする」  俺がグラスを変えに立つと彼女が話を続けた。 「私はね、普段の食事はこのハンバーグでいいと思うんだけど、彼は見栄えのするミートローフを私が作るのを好む。味は似たようなものだけどパーティーのようなテーブルが好きなの。和食でも…具だくさんのがんもどきを手作りした時には…私、自分で自分を誉めたわ。彼は満足そうにパクパクと食べて終わりよ…」  隣でじっと聞いていると話づらいのかもしれないと思い、静かにさりげなく空いた皿をシンクに運ぶ。
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