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愛実の腕がそっと俺の背中に回り
「ありがとう」
「ん、当たり前。愛実をずっと全部愛せる自信がある」
「…ありがとう、悠衣」
彼女の手がきゅっと薄いセーターを握りしめた。
「私も…まだまだ悠衣の熱量にはかなわないんだけどね…でも私も…」
ゆっくりでいいと背中をそっと撫で伝える。
「悠衣が好き…悠衣のことが好きです」
心が震えるというのはこういう事か…愛実の言葉が耳からでなく心に入ってくる感覚。ほんの僅かに震える小さなその声は俺の心を大きく震わせた。何か言わないと…だが嬉しいなんて言葉じゃ足りない。
「愛実、嬉しい…嬉しいんだけどそうじゃなくて…そんなありきたりな言葉じゃなくて…幸せで心が震えてる…愛実…愛実…愛実」
彼女を抱きしめる腕に力を込め強く抱きしめると、愛しい名前を呼びながら彼女の頭に頬ずりした。
「悠衣、好き。ずっとありがとう」
その言葉に顔を上げると愛実の頬を両手で包み
「いま幸せだ、俺」
そっと唇を重ねた。
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