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お腹が一杯になってきて話が弾み出す。お二人は本当に朗らかで、食べ物の話はもちろん仕事の話もするし、マレーシアの話もたくさん聞かせて下さる。
「愛実ちゃんだけでもマレーシアにいらっしゃい」
「愛実が行く時は俺も行くに決まってるだろ」
「別に決まってないわよ。べったり一緒にいなくてもいいでしょ」
「一緒がいいに決まってるだろ」
「悠衣、あんたは何でもかんでも決まってるだろって、それは思い込み」
悠衣とお母様のやり取りが速くて私の出番はない。
「愛実ちゃん、パスポート持ってる?」
「…はい、一応」
「一応ってことはしばらく使ってないのね?最後はいつ海外に行った?」
お母様の質問に一拍おいてから、ご両親お二人を見て伝えた。
「新婚旅行です…実は私結婚と離婚をしていて…」
「そうか。そんなに申し訳なさそうにすることない。珍しくもないし僕らは気にならないよ」
お父様が穏やかに言って下さり、ますます申し訳なくなる。
「それが…二度も」
一瞬の間があったあとお母様が
「うふふ…悠衣べったり一緒にいたくなるわね、この可愛さ」
と悠衣に言い、そして私ににっこり笑って言った。
「自分が魅力的だから二度も三度も何度も結婚できるのよ~って胸張ってたらいいのよ。下向くようなことじゃないわよ」
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