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「…ふふっ…悠衣の言葉が魔法のようだと思う事があるんです…それは長い海外生活等の悠衣の経験で培われたものかと思っていました。でも…こうして…ご両親のスケールの大きさを目の当たりにすると…」
新婚旅行という言葉の辺りから私の手を握っている悠衣の顔を見る。
「悠衣はご両親にとても似ているんだね。素敵なご両親に…」
「そうか?親父たちも俺も思った事しか言わないところは似ているな」
悠衣はほんの僅かに照れくさそうにして繋いでない手でワイングラスを持つとぐいっと中身を飲み干した。
「愛実ちゃんといる悠衣はレアな表情を見せてくれるから面白いわ」
「魅力的な女性にいろんな感情や表情を引き出してもらっているってことだな」
お母様とお父様に順に言われると、今度は悠衣と二人で目を合わせ照れくさいねと頷き合う。
「私達、来月の頭にマレーシアに戻るけど…愛実ちゃん、それまでにもう一度会いましょうね」
「悠衣がいなくても、ここの部屋にいつでも来たらいい」
「はい、番号…これ渡すから愛実ちゃん登録して」
お二人が口々に言い、お母様はスマホを私に丸投げ状態だ。呆れたような悠衣がお母様のスマホを操作し私の番号やアドレスを登録する。そしてそれを返しながら言った。
「俺たちも今日ここに泊まるから」
「そうなの?それならそうと早く言いなさいよ」
お母様は膝の上のナプキンを取りテーブルに置くと
「愛実ちゃん、上のバーに行きましょう」
そう言ってにっこりと立ち上がった。
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