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「いいんだよ。二人がいつもどんな風に過ごしているのか垣間見ることが出来たよ」
お父様は静かにグラスを掲げたあと、目を細めてウィスキーのロックグラスに口をつける。
「愛実ちゃんのお兄さん、克実さんっていうの?お会いしたいわ。悠衣は良く知ってるの?」
「ああ、愛実と似た美貌の持ち主と言えるなあれは。容姿だけでなく、クリニックにかける思いと妹を思う気持ちの熱い男だ」
「あら、私好みよね?あなた?」
「そうだな。美しいアイドルにハマっているものな、衣月は」
お二人を中心に話題は尽きず、悠衣が
「もう部屋に行くぞ」
と切り上げる。お開きにしようということになり最後にお母様が
「愛実ちゃん。もし悠衣と別れたとしても私とはお友だちでいてね」
とおっしゃり悠衣が場にそぐわない声を上げる。
「ふざけんなよ。別れるとかそんな言葉は存在しない。俺のパートナーは愛実だけだ」
「悠衣」
少し声を抑えるように彼の腕を擦る。
「悪い」
「うん、大丈夫。私も悠衣だけだよ」
「愛実ちゃん、ありがとうね。この年まで好き勝手してた男なんて扱いにくいでしょ?何かあったら私が愛実ちゃんの味方するから連絡してよ。それから…私たちはあなた達がこのままパートナーでいるのか結婚するのかは全く気にならないからね。自分の人生は自分のもの。誰のものでもない。自分の思う幸せが得られるならどんな形でもいいのよ」
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