6019人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
「よくわかりますよ、皆藤さん。愛する人を思うのに年齢も関係なければ、その関係性も関係ない。結婚したから完結するわけでもありませんしね」
「そうよね…関係性はどうであれ愛する人には、さらに幸せになって欲しいと願い続けるものよね」
滝沢さん夫妻の言葉には納得した様子の愛実を見て安心したところでリサさんが聞いてきた。
「さっき、俺がどれだけお前を追いかけたかって…皆藤さん、どれだけ追いかけたんですか?」
「あーそれは…」
俺が話を始めたところで愛実が気恥ずかしいのか手洗いに立つ。簡単に俺が追いかけたエピソードを話した後リサさん、滝沢さんが言う。
「素敵ね…揺るぎない気持ちが皆藤さんを動かし、愛実さんを動かした」
「形はどうであれ皆藤さんと中埜さんはベストパートナーですよ」
その夜、マンションに帰っても愛実はどこか不安気で口数が少なかった。
「愛実、ここ」
水を持ちソファーに腰掛け隣をポンポンと叩く。出掛けたワンピースのままストンと腰を落とした愛実に水を渡し
「ん、何考えてる?」
静かに問いかける。愛実は両手で持った水をじっと見つめ言葉を探しているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!