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水を一口飲んだ愛実がその水を持ったまま発した言葉は
「自分でもよくわからない…ごめんなさい」
だった。その手からそっと水を抜き取りローテーブルに置くと彼女の両手を両手で包む。
「大丈夫だ。わからないまま、その頭に…心にあるものを俺に伝えて」
「…私は十分幸せだと思っているの…悠衣もそうだといいなって…それはよく思ってて…今日悠衣も幸せって聞いて嬉しかった…」
「ん、俺も嬉しい…愛実が幸せだと思ってくれていて…で?それだけじゃなかったか?」
「…悠衣…」
「ん?」
「私…悠衣のこと本当に好きなの…」
「知ってるぞ、愛実は俺のことが大好きで愛してるだろ?」
「…そう…でも足りない?」
「足りない?愛実が俺を思う気持ちがか?」
「うん」
「いやそんなことないだろ?俺は十分その気持ちを受け取っているが?…どうしてそう思った?」
「私は…万が一の時のことなんて…考えたことなかったの…ただ悠衣と一緒にいることだけ…それだけで幸せ…満足って…だから今日悠衣の話を聞いて…私の思いは足りないのかなって…」
なるほどな…
「くだらねぇ…バカマナ思考矯正講座再開だな」
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