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祝いの席にふさわしく、悠衣は高級会席料理店の個室を予約してくれ紗綾は大喜びし岳人さんは恐縮していた。
「もお、紗綾ったら…私、全然知らなかったから驚いたよ」
「愛実の驚き具合に俺は笑った」
紹介しあい食事を始めた時に私たちが言うと
「ごめんね。隠していた訳でもないけど、付き合い始めたってわざわざ言うことでもないかと思って」
紗綾はそう言うと綺麗に飾り切りされた人参を口に入れた。
「岳人さんはブレントの友人だと聞きましたが?」
「はい、彼が日本に来た時に部屋を探すのを手伝ったのがきっかけで」
「不動産関係のお仕事をされているのですか?」
「いえ、外国人サポートの会社をやっていて…従業員はたった3名ですが」
「どういったサポートを?」
「インバウンドの案内も依頼があればやりますが、日本に在住するかたのサポートが中心です。住宅や就労のサポート、公的機関への各種手続きを代わりにしたり通訳としてサポートします」
悠衣と岳人さんがそう話していると天ぷらが運ばれてきた。すると紗綾は自分の刺身の皿と岳人さんの天ぷらの皿をひょいと取り替える。
「あっ、妊婦さんだから…」
「うん、生ものは避けてるから」
それを聞いてすぐに悠衣が岳人さんの天ぷらを追加で注文する。
「悠衣、ありがとう。はい、岳人…この天ぷら返すよ。私は次の出来立てを2皿目に頂くね」
「ハイハイ。悠衣さん、遠慮なくいただきます」
「どうぞ。紗綾、足りなきゃ3皿目注文していいぞ」
「さすが悠衣、太っ腹」
そう言った紗綾が大きな口で海老の天ぷらを頬張ると
「デカい口」
すかさず岳人が言うのを聞いて私は二人に言った。
「紗綾と岳人さんは雰囲気が似てるんだね」
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