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「愛実もそう思う?」
紗綾は嬉しそうに言い隣の岳人さんを見た。
「両方の親にも言われたんです」
「そうなんですか?」
岳人さんから私に目を向けた紗綾は
「人間って自分がもっていないものを持つ人に魅力を感じるじゃない?だから今まで私が付き合う相手って寡黙な大人の男性だったりしたわけよ。でも岳人は一緒にいてとても楽チンな相手で、気がついたら似た者同士で引っ付いたってわけ」
そうにっこりと笑うと
「愛実もますます幸せそうだね」
と言った。
「悠衣のおかげで…そうだね」
「何で恥ずかしいんだよ、愛実。そこは‘そうだね’じゃなくて‘幸せ’と口にするところだろ」
「紗綾は汲み取ってくれるからいいの」
「はっきりと口にする方が間違いないだろうが…まあ紗綾、心配ない。間違いなく愛実は俺が幸せにしているし、これからもっと幸せにする」
「結婚するの?」
紗綾の問いに、岳人さんも同じようにこちらを見るが
「今のところ予定はない」
「えっ…そうなの?もっと幸せにするって…」
悠衣の答えに向かいの二人が戸惑った。
「紗綾、心配しないで。悠衣と私のゴールというのかな…幸せの形は結婚にこだわっていないのよ。悠衣も言ったように、今のところ。おばあちゃんになってから結婚するかもね、ふふっ」
そう言った私の頭を悠衣が撫で満足そうに呟いた。
「愛実、いま本当に幸せなんだな。そんな風に俺が前に言ったことも理解して落ち着いて笑ってる。俺が幸せだ」
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