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「じゃあ、俺たちはホテルで休む」
「夕食、食べて行きなさいよ」
ほらきた、愛実を帰す気がないんだ。
「いや、迎えに来てもらっただけで十分」
「そう…残念ね」
「残念だな…朝から鮮魚市場まで行ったんだが」
おいおい、二人がかりかよ。
「悠衣…」
愛実が控えめに俺を呼ぶ…そうなるよな。両親の思惑通り一緒に食事をすることになった。市場まで行ったというだけあって魚介類を使ったアクアパッツァがメインか?しかし実際に手を加えたのはアクアパッツァくらいで、あとは殻付きのエビが蒸しと焼きでドーンとテーブルに置かれている。すっかりマレーシア流か…
「こんな大きなエビはなかなか食べないよね」
「そうだな」
「美味しい…甘い」
愛実は手でエビを食べるのに一生懸命でワインが放置されている。
「愛実、忙しいな。ワイン忘れてるだろ?」
「ほんとだ…エビに夢中で」
「良かったわ。愛実ちゃんには肉かと相談もしていたけど、ここへ来てくれたらエビは外せないかと思って」
「ありがとうございます。すごく美味しい…エビだけで満腹になることって人生である?」
「ないかもな…くっくっ、愛実良かったな」
やっとワインに口をつけた愛実が頷く。すると
「愛実ちゃん、明日の予定は?」
またきた…
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