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「店舗の人に後を追うように指示しておいた」
「親父…なんてこと…社員に示しがつかないだろう」
「一生に一度のことだ。堅いこと言うな」
「そうよ。愛実ちゃん、私たちとも一緒に写真撮ってもらいましょう」
「お義母さんもお義父さんも、素敵です」
愛実が言うのも無理はない。二人ともセミフォーマルな装いだ。もう止められないな…諦めたよ。
「皆で写真お願いします」
カメラマンに声を掛けた。もうプールサイドを貸し切り時間が過ぎたらしく、ポツポツと宿泊客が現れ俺たちを祝福してくれる。
「悠衣、本当にありがとう。これからもよろしくね」
「ああ、離さない。ずっと一緒だ、愛実」
「お義父さん、お義母さん、来てくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
「娘が出来て嬉しいわ」
愛実が喜んでくれたから想定外も許せるというものだ。俺たちらしい一日だったと言っていいだろう。
「すごく楽しい、あっという間の1週間だった」
「また、旅行しような…シンガポールマレーシア以外へ」
「ふふっ…私、お義母さんたちのこと大好きだよ」
「わかってる。俺が愛実を独り占め出来ないことだけが難点だ」
離陸する飛行機の中で二人頬を寄せ合い話をする、この瞬間もかけがえのない一瞬だと思いながら帰国の途についた。
[完]
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