second chapter

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 土曜の午後、昨夜のメッセージの相手、中埜克実(なかのかつみ)とカフェのテラス席でタルトとたっぷりの紅茶を楽しむ。ここからは道路が僅かに見えるものの、カフェの奥に大小の木が植えられたこのスペースは都会の真ん中の手軽な癒しの場だ。 「ここのタルトは本当に美味しい。相変わらずフルーツたっぷり」  大きめの一片をフォークで口に入れると、甘いだけでなくフルーツそのものの味と香り、そこへ程よい固さのタルト部分の食感と控えめな甘さが口の中で私好みのハーモニーを奏でる。 「幸せそうな顔だな、ふっ」  妹の私から見ても王子様のような端整な顔に優雅な微笑みを浮かべる兄、克実がティーカップをそっとソーサーへ置き頬杖をつくと、間隔のかなり離れた隣の席から憧憬のため息が聞こえる。 「克実はいつ見ても綺麗ね。今日も夜勤明けとは誰も思わないわよ」 「愛実もよく似たものだよね。男を惹き付けてしまう雰囲気は増すばかりだと思うよ。最近は困ってない?」  男性にしつこく誘われる等の困った時は必ず克実が彼氏として助けてくれる。 「うん、大丈夫。マンションと事務所の往復だけで誰とも関わっていないし…あっ、昨日は一華と紗綾と一緒に食事したの」 「ああ、二人とも元気だった?」 「うん…とっても」  そして一華の結婚式の話をする。両親にするのは躊躇われる話でも、昔から5歳年上の克実には何でも話せる。 「そっか…今の口ぶりじゃ、愛実はもう納得はしてそうだね」 「うん、結婚式に関してはそうだね」 「ただ、離婚の事は思い出してしまったってところだな…」  ああ、今日克実に会えて良かった…もうモヤモヤは解消した。
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