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「あっ! もう全部食べちゃったんですか? ガム」
「いやぁ、ちょっと楽しくなっちゃって。あはは」
涼太は昼休みいっぱい使って、十二枚入りのガム、すなわち十二通りの未来を、全て見てしまった。
「どうでした? 気に入った味はありましたか?」
美沙がずいっと顔を近づけてきた。あんなものを見せられた後だ。理恵には悪いが、さすがに多少どぎまぎしてしまう。
だけど……。
「どれも美味しかったから、一番はまだ選べないな」
「ふーん、まだ、ですか」
拗ねたようにほっぺを膨れさせる美沙を見て苦笑する。ついで、理恵からのライン。「ごめん、今思い出した。三周年だったね」という文面を見て、もう一度苦笑する。
そして、どちらにせよ、後悔しない未来を自分で選ばないとな、と涼太は思った。
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