断末魔

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☆ 「はい、次の方ー」 「はーい」 ご主人は、俺たちが入ったキャリーバッグを持って、扉の向こうにある部屋に入る。やめろ、やめてくれ! 先ほどまでは、布でも使って、空間に光が当たらないようにしていたのだろう。当然だ。それを見てしまえば、俺たち兄弟は叫び続け、周囲の目がご主人に向けられるからだ。 「いやだ! アニキー!」 「弟よー!」 弟はご主人に抱き抱えられ、白衣を纏った男に「アレ」をされる。弟の断末魔が響いた。次は、俺か。 抱えられた俺は、絶望のあまり無気力になっていた。 「それじゃあ、チクッとするよー」 アレが来る。白衣の男は笑顔を俺に向けた。ご主人も笑っている。どうしてだ、ご主人。 グサリ。その刹那、俺は痛みに悶えて、叫んだ。 「にやあああああ!」
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