水曜日

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 考えこんでいる間に電子レンジのアラーム音が鳴り、薬缶からは白い湯気が勢いよく噴き出していた。慌てて火を止める。  ポットに湯を注ぎ、ダージリンのティーバッグが入っている容器の蓋を開いて一つ取って中に入れた。マドレーヌもレンジから出して手近にあったお皿に並べる。それらとティーカップをお盆の上に乗せると、私は自室に戻った。 「お待たせしました」 「わあ、いい匂いがする。それマドレーヌ?」  こちらの足音に気づいていたのだろう、部屋の前に立つと同時に扉を結城さんが開けてくれた。ぐっと背を屈めて私の手もとを見つめている。 「はい。昨日作りすぎちゃって」 「へえ、木崎さんの手作りか。きっとおいしいんだろうね」 「やだなあ、褒めてもなにも出ませんよ」  そんなこと言いながら、私は机の上にお盆を置いた。カチャンと小さくティーカップ同士のぶつかりあう音が聞こえた。 「ダージリンのほうなんだ」 「わかるんですか」 「え」  紅茶が並々と入っているカップに口をつけて飲んでいた結城さんの動きが急に止まったかと思ったら、まっすぐな視線がこちらむけて飛んできた。それはなぜか険しいもので、私はふと彼と会った時のことを思い出した。  本当に愚かな人間たちだ。徐々に体温が下がっていくような感覚。精緻で見事な彫が刃に施されているナイフ。けれどそれは、凶器には変わりないのだ。    どうしてかは不明だったけれど、きっと私の台詞になにか引っかかるところでもあったのだろうと思い、
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