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月曜日
「彼ならきっと力になってくれるはずだから、安心しなさい。大丈夫だ」
「……はい」
盗撮写真と手紙の入った茶封筒がポストに投函されていたその翌々日――月曜日だ。大学の講義を休んで、私は和彦おじさんと喫茶店で人を待っていた。
やや薄暗い照明と、アンティーク調の机や椅子、カウンター。大きな柱時計はいかにも年季が入っているという感じで細かい傷がいくつもついていて、なかなか雰囲気のいいお店だ。
「それにしても、急に文から電話がかかってきて殺されるだなんて言うから驚いたよ」
「ご、ごめんなさい。でもおじさんしか相談できる人がいないと思って」
彼は私の父方のおじだ。そして新宿警視庁で働く警察官でもある。彼なら、と私が頼ろうとしたのもそういう理由からだった。警察組織としては動いてくれなくとも、おじさん個人であれば相談に乗ってくれるんじゃないか、と。
突然の私の電話に対し、最初こそ戸惑っていたものの、おじさんは事情を聞くとすぐに知人に若いが優秀な探偵がいるので彼に調査を依頼してみようという話になった。探偵なんてずっと小説やドラマの中の世界のものだけだと思っていたのに。まさか自分がお世話になる日が来るだなんて。
「すみません。お待たせしました」
すっと木製の机に細長い影ができたと同時に、上から声が降ってきた。
「新仇郎くん。いや、こちらこそ急に呼び立ててすまなかったね。忙しいんだろう」
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