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一瞬の間があった。
「・・・は?」「・・・え?」「どの辺が・・・?」と3人が次々に驚いたように聞き返す。
「―――――俺は今回、初めて怜の前で・・・泣いた」
笑うでもなく、恥ずかしがるでもなく、至って普通にさらりと京助は言う。
怜が、ありゃ、自分で言っちゃったと苦笑し、真人は、へぇ、すごく意外と目を見開く。そして耀は・・・。
「・・・え、マジ?―――――見たの?怜兄ちゃん」
――――素っ頓狂な声を上げた。
「・・・うん・・・まぁ・・・見た」
「号泣?しゃくり上げてとか?」
弱みを見つけた!みたいなキラキラした表情で耀は前のめりに怜に尋ねる。
舌打ちをした京助がズイッと体を前に倒した耀の頭を小突く。
「・・・アホか。んなお前みたいな泣き方するかよ」
「イデッ!・・・んだよっ、俺そんな泣き方しねぇし!」
食って掛かるようにそう言った耀をちらと怜と真人が見遣って、示し合せたように視線を合わせ小声でボソボソ囁き合う。
「・・・したよな?(ボソッ)」
「・・・うん、したした(ボソッ)」
そのやり取りに京助がプッと噴き出して、ニヤついた表情で耀をついと見た。
「ちょっと、怜兄ちゃんも真人さんも、聞こえてますけど!つーか、父さんニヤけ過ぎ!――――で?どうしてその秘密を言おうと思ったの?」
「―――ん?あぁ。ほら、さっき怜が言ったろ?”弱い部分を見せ合える関係は大事だ”って。だからさ、お前らには俺にもそういう面があるってことを知られててもいいかなぁ、なんて思ってよ」
少し照れくさそうに京助はそう言って、でもそれを隠すように手にした煙草に火を点けた。
耀はしばらく不思議なものでも見るように京助を見てから、それってさ・・・と口を開いた。
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