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「それってさ、――――俺たちにならどんなかっこ悪いとこでも、だっせぇとこでも、全部さらけ出せるってこと?」
「・・・まぁ、そうなるな。―――――あれ?ダメか?」
「ダメじゃないけど・・・。何かビミョー」
「何でだよ」
「―――――京助さんが、耀くんの目標だから・・・でしょ?耀くん?」
「う・・・。―――――そんなこと言わないでよ真人さん。恥ずかしいじゃんッ」
「何だ耀。お前、俺に憧れてんのか?ん?そんなに俺が好きか?――――チクショー、お前、ホントに可愛いやつだな。パパ、むぎゅーってムチューってしてやろうか?」
「・・・そんな変態オヤジはいらねぇし。――――――あぁ、もうっ。そういうこと言わなければカンペキな男なのに、ホントもったいねぇよな、父さんって」
「―――またそんな憎まれ口言って・・・。京助さん。耀くんね、最近よく言うんですよ。”父さんみたいに気負いのない強い男になりたい”って。それから・・、”父さんと怜兄ちゃんみたいな一緒にいるのが当たり前、みたいな恋人同士になりたい”・・・って。耀くんにとってふたりは、理想であって目標なんです。だからこそ、今回のことでとっても心を痛めてた」
そうだよな・・・。怜がしみじみと言い、ごめんと言いかけて途中でやめた。
「今度こそ、耀がみんなに自慢したくなるような、そんな関係でい続ける努力、俺、ちゃんとするから。―――――ありがとうな、耀」
翌朝からいつも通りの日常がようやく瀬能家に戻ってきた。
もう一日くらい休んでいいんだぞ、という京助の言葉を振り切って作業着に着替えた怜が、「先に行ってる!」と、跳ねるように会社に向かって駆け出した。
その後姿を見ながら京助は呆れたように苦笑する。
昨夜、(また)あんなにくたくたになるまで抱いたのに、何であいつあんなに元気なんだ?もしかして、自分で思うより全然あいつを満足させられてないじゃねぇか?――――などと、怜が聞いたら青ざめてしまいそうなことを考えながら、京助も家を出た。
会社に行けば翔太と尚に散々締め上げられるんだろうな、怜のやつ。と、これから繰り広げられるであろう展開を予想して、少し意地の悪い笑みを浮かべる。
“かわいそうだけど少しの間放っておこう。んで、もう限界、それ以上言われたら泣いちゃう、みたいな雰囲気になったら俺様が颯爽と登場して助け舟を出してやろう、うんそれがいい・・・・・・。”
――――そんな展開は全く起きることはなかったのだが、
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