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俗世、再び。寝不足です。
母のことも心配なので、俗世へ戻ることにした。
朝。母は、横になって眠っていないため辛そうだった。
冥界の待合所で時代劇の話などしていた父を思い出すと、しおらしく眠る顔に一発お見舞いしたくなる。
午前中、姉が姿を見せた。
「難しい状況が続いてるって」
憔悴した母の代わりに、私が担当医の言葉を伝える。
姉は重そうなため息とともに言った。
「もうハッキリしてよ」
項垂れた母の肩がピクリと動く。
姉は母の変化に気づかない。
「自業自得じゃない、人騒がせな。私、介護なんて御免よ。
もう、いっそのこと……」
「いい加減にしなさい!」
母が声を荒げた。
「誰のお陰でお嫁に行けたと思ってるの!」
普段、おっとりとしている母とは思えないほどの剣幕だった。
姉がはたと呼吸を止める。
そして数秒の後、堰を切ったようにワッと顔を覆って泣き出した。
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