冥界、再び。お父さんの見極めは。

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冥界、再び。お父さんの見極めは。

 人気(ひとけ)のない階段の踊り場へ出ると、寝不足でフラつきながら鞄に腕を突っ込んだ。  母と姉には、一応職場に顔を出すと言ってある。  父の見極めの順番が回るかもしれないと思うと気が気でない。  私が行ったところで、運命が変わる訳ではないけれど。  「お父さん!」  私が再び冥界に入った時、父は丁度タカムラの机の前に立ったところだった。  ぼんやりとした顔でこちらを振り返る。    良かった、まだ身体は透けている。  と思った途端、足元から徐々に父の身体がハッキリし始めた。  「待って!」  まだ伝えていない。  六文銭の件と、ありがとうを。  私が駆け出すと同時に、タカムラが羽扇を翳した──。  
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