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集会場所には多くの人が群がり、炎の前に座って並んでいた。その村民相手に村長が抱負を述べていた。
「ごめん、遅れた」
「あ、ナエ!来たんだ」
ライロは隣を指さして座らせた。
彼女は眼を何回もこすって赤くしていた。
集会が終わり、各々姿勢をくずして話し込んでいた。彼女はライロとガラの会話を聞いていた。
「来月は隣の村と祭りを開催するんだけど、ナエも参加してよ!」
ライロは笑う。
「……そうだ、ね」
背後に忍び寄る影が彼女を捕らえる。三角座りがより小さくなる。
遠くからケルコの叫び声が届いた。彼女は応じるように手を上げて、立ち上がった。
「…………」
アルビ、ガラ、ライロそれぞれに目配せをした。そして三人を見つめた。ガラは何かを発しようとしたが、彼女は走り去った。
振り向いてはいけない。
ケルコ達の元に着くと、手を取り合って踊りだした。酒に酔った男たちが女の人を誘って宴会と化した場を楽しませた。それらを見た観客は酒瓶を天に掲げ、指笛を吹く。
「ナエ!来週の祭り、行くよな!」
ケルコが大きな声で言う。
「行きます、もちろん!」
彼女もつられて大きい声で返事した。
「ケルコ、飲みすぎじゃねえかー?」
「いや、まだまだ!」
ケルコは彼女の手を強く握った。
村の夜会は途端に幕を閉じた。疲れて地面に手をつく者、早くも眠りについた者もいた。
彼女は、彼らからそっと離れた。
影が青年を飲み込む。
青年の足下から光の粒子となっていく。受け入れるように目を閉じた。再度の挑戦を胸に秘めて。
顔付近まで到達したとき
「ありがとう」
青年は霧散した。
「おーい。ナエ!もう一回踊ろうぜー」
「もういいだろ。ナエちゃん可哀そうだ」
仲間がケタケタと笑った。
「……おい、ナエ!」
「うるせぇなー」
「ちがう。おい、みんな!ナエが」
「…………え?」
「ガラ、あれ見て!」
「お、すげぇ。きれいな星だな」
ガラとライロは両手を合わせた。
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