手のひらの温度

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「だから、なぎさ君……」 「お、俺! もっとアイスレモンティーを作るの上手くなってみせます!」 「え?」  驚いたような結城さんの顔。俺がいきなり大きな声を出したからだ。  けど、構わず俺は続ける。 「カフェのと比べたら、こんなの全然美味しく無いです。けど、もっと努力しますからまだ俺に作らせてください! もう、俺なんか必要無いかもしれないけど、俺は……」  喉がからからだ。  ついさっきまでアイスレモンティーを飲んでいたのに。  痛い、苦しい。  喉を通り越して、胸が、破裂しそう。 「待って、なぎさ君! 僕は、君のことを必要無いだなんて思っていないよ!?」  結城さんが手を伸ばして俺の目元に触れる。  ああ、自分は泣いていたんだとその時初めて気が付いた。 「どうして、そんな風に思ったの?」 「だ、だって……心を修復したって、それってもう辛く無くなったってことですよね? ……結城さんは俺の作ったレモンティーで元気になってくれたけど、もう元気なら飲む必要も無いじゃないですか。もう、俺は結城さんに必要とされないんじゃないかって……」 「そんなことないよ!」  ぎゅっ。  次の瞬間には、俺は結城さんの腕の中に居た。  抱きしめられている。初めて出会ったあの日みたいに。 「なぎさ君、お願いだからそんな悲しいことを言わないで」 「でも……」 「僕たち、まだ出会って日が浅いし、お互いのことをあまり知らないけど……こんな言葉、安っぽく聞こえるかもしれないけど……僕は、なぎさ君のことを大切に思っているよ」
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