苦くて甘い

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 結城さんは俺から視線を逸らす。俺はそんな彼の袖をきゅっと掴んだ。 「結城さん、泊まりたい。帰りたくない」 「……なぎさ君」 「準備、してあるし」 「準備!? 何の!?」 「えっ? 心の準備ですけど」 「あ、ああ、そう……」 「結城さん……」  今度は俺から抱きつく。  結城さんは「……分かった」と息を吐いた。 「お風呂、入っておいで。場所を教えるから」 「ありがとうございます……!」  結城さんに案内してもらって、俺はさっさと服を脱ぎ捨てて浴室に飛び込んだ。  準備、って言った時に結城さん、動揺してたな……。  俺はシャワーを浴びながら、自分の後ろに触れた。  使うの、ここなんでしょ?  妹の漫画でもそうだったし、ネットでも調べた。   「……っ」  結城さんに暴かれるのを想像しながら、俺はひとり身体を熱くした。 ***  俺がお風呂から上がると、入れ替わるように結城さんもシャワーを浴びに行った。寝室で待つようにと言われたので、大人しくそこのベッドの上に座る。  モノトーンで統一されたシンプルな寝室。結城さんに似合っていると思った。ぼんやりと天井を眺めていると、ドアががちゃっと開いて結城さんが入って来た。彼は俺を視界に入れてにこっと笑うと、クローゼットを開けてボトルと箱を取り出した。 「それ、何ですか?」 「ローションとゴムだよ」
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