苦くて甘い

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「なぎさ君、身体は大丈夫? 痛いところは無い?」 「だ、大丈夫です」  お互い、余韻に浸るように手を伸ばして抱きしめ合った。結城さんの心臓の音がどくどくと響いている。俺の音も結城さんに聞こえているんだと思うと、何だか少し照れ臭くなった。 「僕、一生なぎさ君のアイスレモンティーが飲みたいな」 「え? 一生ですか?」 「うん」  そう言ってもらえて嬉しいけど、俺はまだカフェを継ぐかどうか分からないし……。  そのことを結城さんに伝えると、彼は「あはは……」と笑って眉を下げた。 「最上級の告白のつもりだったんだけどな」 「最上級?」 「良く聞かない? 僕のために毎朝味噌汁を作ってくれないか、的な……そういうやつ」 「え……」  それって、告白っていうよりプロポーズじゃないか!  俺は結城さんの顔を見る。その頬はほんのりどころじゃなくって、真っ赤に染まっていた。 「分かりにくいですよ!」 「はは……まだプロポーズは早いよね。けど、いつか本当にちゃんとするから!」 「ちゃんと?」 「そう。夜景の素敵なホテルとかで」 「ふふ。楽しみにしてますね」  見つめ合ってキスをした。  その「いつか」が早く来れば良いのにな。その頃には俺はもう社会人かな? こんなに先のことを考えて楽しいことって無い。素敵な未来が訪れますように。 「さて、なぎさ君」 「あ……」  どさっとベットに倒される。結城さんは悪戯っ子みたいに笑った。 「寝かせないって、言っただろう」 「……ふふっ」  笑い合って、また甘いキス。  結城さん、大好きだよ。ずっと一緒に居ようね。  身体はまた熱を取り戻した。外の寒さなんて忘れるくらいに。  二人だけの聖夜。  俺たちは何度も身体を重ねて、互いの熱を伝えあった。
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