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「約束の日」
ねぇ、覚えているかしら?
春に、千鳥ヶ淵でボートに二人で乗って、満開の桜を眺めながら、水面に舞い散った薄桃色の花びらを手で掬ったこと。
ねぇ、覚えているかしら?
夏には、白浜の真っ白い砂浜に二人で寝転んで、真っ青に澄んだ空に浮かんだ白い雲を、子供みたいに吸い込もうとはしゃいだ時のことを。
ねぇ、覚えているかしら?
秋の日に、薄っすら雪を被った富士山の横に、ぽっかりと浮かんだまん丸な黄色いお月様を、二人で飽きることなくいつまでも見上げていたことを。
ねぇ、覚えているわよね?
小雪の降る寒い冬の日に、ひとつのマフラーに二人でくるまった、あの日のことを……。
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