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しばらく窓の外を気にしていた浩志だったが、やがて席に戻ると、優から課題を取り上げた。
「ところで、お前、何しに来たんだよ?」
進んでいない課題を見られ、バツの悪そうな浩志の質問に、優は当然のように軽く答えた。
「補習で残されてるって聞いたから、帰る前に様子見に来てあげたのよ。進んでないんじゃないかと思って」
「……よくお分かりで」
浩志はそう答えると、再び課題に向き合う格好をした。
しかし、彼一人では解決できるはずもなく、結局彼女の力を借りるしかなかった。
2月の空は、すぐに陽が落ちてしまい、浩志が課題を終える頃には、外は夜を迎えようとしていた。
職員室で待っていた担任に課題を提出すると、二人はようやく帰路につく。
「そういえばさぁ、さっき部活中に聞いたんだけど、蒼井ちゃん、彼氏いるらしいよ」
「そりゃいるだろ。大人なんだし」
「しかも、その人と結婚するんだって」
「ふ~ん」
「何よそれ。興味なさそうな返事」
優は、浩志の態度に不満を口にしたが、話題は中学男子の興味をそそるものではない。実際、浩志には興味のない話だった。
しかし、優はそんな彼を相手に、その後も、恋愛やら結婚やらについて楽しげに話し続けるのであった。
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